片平たてもの通信 第1號

【 片平たてもの物語 《1》 】
−東北大学記念資料室−

 片平キャンパス正門を入って数十メートル、テニスコートの隣りに建っているこの建物は、大正14年に建てられたものです。大きなアーチ型の窓、レンガ仕上の1階外壁と2階の白壁との対比が美しく、印象的な佇まいです。そして何よりこの建物を優雅に演出しているのは、屋根の上の小塔でしょう。その緑青をふいた銅板葺きの塔は何とも愛らしく、「東北帝国大学附属図書館」といういかめしいばかりの建築当初の名称を忘れてしまいそうです。
 内部は2階部分が図書閲覧室になっていたようで、当時の写真が資料室に残されています。高い天井からは伸びやかな曲線を描くシャンデリアが下がり、ちょっと窮屈そうな詰襟を着た東北帝国大生が本を広げて読みふけっています。リベラルで明るい雰囲気漂うこの空間で本を読める、それは当時の学生達にとって非常に誇らしく名誉な事ではなかったでしょうか。
 設計は後に東北大学名誉教授も務めた小倉強氏。氏は建築デザイナーとして優れた仕事を残した他、後進の指導や古建築の研究においても大きな業績を残しています。  昭和61年には修繕の手が加えられ、現在は東北大学記念資料室として見学者を受け入れています。
たてもの通信編集部 佐藤智之

《データ》                
東北大学記念資料室        
= 東北帝国大学附属図書館

大正14年竣工
設計者:小倉強
構造:RC2階建

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