片平たてもの通信 第1號

−《片平たてもの應援團》発足及び《片平たてもの通信》発刊の辞−

 数年前、私達、遠山と櫻井は巷間の近代建築(明治〜戦前までに造られた洋風建物)に魅かれ、『近代建築研究会』と銘うって、街歩きや調査記録活動を開始しました。しかし、現在までの僅かな期間にも、残り少ない古い建物は目の前からどんどん姿を消し、その数を減らしています。そんな中で東北大学片平キャンパスは、まとまって大建築の残された、仙台における近代建築の宝庫として、また最後の砦としてとても頼もしい存在であり続けてきました。明治時代の木造建築、セピア色の重厚な外壁や放物線を描くアーチ形窓をもつ幾棟もの建物。どれもこれも息をのむばかりの風格をもって、そこに佇んでいます。
 ところが、そんな魅力溢れる仙台唯一の規模の近代建築群が今、存亡の危機に瀕しています。それは大学の移転問題です。“もし大学が移転したら、この片平キャンパスはどうなってしまうのか?”と憂えた私達は、20世紀も末の1998年春、「片平たてもの應援團」を結成、キャンパス内の古い建築物の良さを訴えるべく行動を開始しました。そんな「片平たてもの應援團」の広報誌として発刊するのが、この「片平たてもの通信」です。
 このように素晴らしい場所を、大学関係者と私達のような近隣住民だけが独占するというのは、何とも勿体ない話なのではないでしょうか。大学でも、市民に向けた広報誌「まなびの杜」の中で、“多くの市民の方に大学に訪れてほしい。大学は市民の財産です。”と明言しておられます。そうです。正に『大学の財産は市民の財産、貴重な近代建築は、市民の宝』なのです。これからは認識を新たに、片平キャンパスの魅力を我々の手で探っていこうではありませんか。そうしていく事によって、私達団員みんながこの空間への愛着を共有し、ひいては周囲に知らせることができればと、願ってやみません。
 この「片平たてもの通信」では、片平学内の近代建築の紹介や見どころ等、憩いの場として市民に良質の空間を提供している片平の良さを多くの人に向けて発信していこうと考えています。また、団員の皆様にも、より良い紙面づくりの為に惜しみないご協力を宜しくお願い申し上げます。
 本誌が片平の近代建築を愛好する人の輪を広げる一助とならんことを祈念し、これを発刊の辞と致します。

1998年5月  片平たてもの應援團
       発起人 遠山伸子
           櫻井久美

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